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ハラスメントと指導

今回の主テーマは『ハラスメントと指導』。

 

前回までの『法律とハラスメント』の3本立てコラムの続編でもあります。

 

3本立てコラムは以下にリンク有り*

・『法律とハラスメント。その①』

・『法律とハラスメント。その②』

・『法律とハラスメント。その③』

 

 

私が組織におけるハラスメント防止研修を

実施し始めた頃~数年前までは、

クライアントからの主なニーズは以下の項目でした。

 

・「ハラスメントのガイドライン」

・「ハラスメントの種類」

・「ハラスメントNG言動」

・「ハラスメント訴訟報道」

・「ハラスメントによる組織への影響」

・「ハラスメントを防止するための組織内施策」

 

2019年頃より、上記の項目のニーズもありますが、

新たなニーズとして増えているのが、

今回のテーマでもある「ハラスメントと指導」の違いについて。

 

管理指導する立場の方が、

パワーハラスメントと指導との違いについて悩まれているという状況。

 

主に以下の想定ケース①~③に類似する悩ましい状況を抱えているのは、

どんな企業でも多かれ少なかれあることとと感じています。

 

□ケース①

上司としてごくあたりまえの指導として、

部下のミスに対して指摘・注意をしたが、

「威圧的に感じました、××さんは怖い」と言われ、

社内でハラスメント上司扱いされてしまった。

訴えられてはいないけれど。以来仕事がやりにくい。

なんでもかんでもハラスメントとされてしまっては、

社員の成長を妨げてしまう。組織の力も弱くなってしまう。

法律で決められたことは理解しているが、

ミスを叱ることとハラスメントは違うはず。

指導には叱責が必要な時もある。

今の状況は、指導しなくていいってことなのかとさえ思ってしまう。

 

 

フィードバック)

「威圧的に感じた、怖い」と部下が感じて、

ハラスメント上司扱いされてしまったとありますが、

ご本人はそんなつもりで言ったことではなく、

ご本人が必要と思う指導の範囲で伝えたのであろうと推測します。

それに対して憤慨の気持ちはとても理解できます。

そして、指導には叱ることも確かに必要な時がありますね。

但し、言葉と行動によっては、ハラスメントだと認定される場合があります。

 

必要な叱責・指導として受け入れられていたことは、

時代や環境によって違います。

何が「威圧的」「怖い」とされたのか、

具体的な言動をヒアリングすることは必須です。

 

そのうえで、不必要だった言動については謝罪する。

しかし、必要な言葉や行いについては、その必要性を再び伝える。

 

腹ただしいかもしれませんが、

問題が大きくならぬうちに、

‟不必要な言動を知る・謝る・必要な言動で指導する”の

サイクルを回してみましょう。

 

 

□ケース②

後輩に業務を教える際、

指導として言ったこと、行ったことが、

ハラスメントになってしまうのではないかという恐れから、

どう接して指導していいのか不安と迷いが生じてしまう。

だからこそ、先輩ではあるが、

謙虚に低姿勢で業務を教えるよう心掛けている。

しかし、なぜ先輩の自分がこんなに気を遣わなければいけないのかと、

気疲れとイライラが増してしまう毎日である。

 

 

フィードバック)

比較的若手の先輩・上司であったり、

もともと優しいご性格の方に生じているケースです。

部下や後輩からのハラスメント問題は発生していないようですが、

ハラスメントと指摘されることを恐れる気持ちが強く、

また、必要以上に自ら低姿勢になってしまうことにより、

精神的な負荷が強まっているケースです。

 

本来、社員は「人」として対等の存在ですから。

丁寧な指導は必要ですが、低姿勢は必要条件ではありません。

 

「自分がこんなに低姿勢になってるのに!」

とするイライラ感情も自ら作ってしまっているかもしれませんね。。

 

また、細かいガイドラインがあるため、

恐れる気持ちは生じてしまうかもしれませんが、

指導として適切な言動であればハラスメントには該当しません。

 

社会で生じてしまったハラスメント訴訟事件は、

職場内外でありがちなケースが多いのですが、

どれも不必要な言動だったからこそ裁かれたわけです。

 

低姿勢という概念は忘れておくか、

それでも不安ならば、まずはうす~くうす~く薄めてしまいましょう。

そして適切な指導言動には自信を持ってください。

 

 

 

□ケース③

部下や後輩のミスの指摘や注意喚起を促す際、

極力冷静に穏やかな表現で伝えているが、

ヘラヘラ笑いながらの「すみませーん」程度の反応で、

緊張感が無く反省の様子が見られない。

結果的に部下や後輩が同じミスを繰り返してしまうケースもある。

かといって、厳しく伝えてしまうとハラスメントとされてしまいかねない。

自分という個人は嫌われても疎まれてもいいが、

ハラスメントとされて組織に迷惑がかかってしまうことは防ぎたい。

ハラスメントにならないレベルでの指導力をもつためにはどうしたらいいのか。

 

 

フィードバック)

冷静に指導してはいても、それが相手に響かず、

実際に同じミスが繰り返されるといった業務への影響が発生していますね。

 

適切な指導であっても、

その言葉や行動だけでは伝わらないのであれば、

指導ツールの強化を図るなど、

これまでの指導プロセスを改善する必要があると思われます。

 

マニュアルやプロセスツールが不足しているために、

ハラスメントが発生する組織は少なくありません。

(特に口頭指導や簡単なプロセス指導に頼っている中小企業)

 

部下や後輩に視覚的に理解してもらうプロセスツールを作る等、

行ったこと・行われていないことを本人がわかるように視覚化できるツールが必要です。

そのための時間と労力はかかりますが、一度完成してしまえば、

後々の後進指導にも生かせる組織の貴重なツールになってくれます。

 

 

今回は3つのケースを想定しつつ、

おおまかなフィードバックを記録しましたが、

具体的な言葉や行動、プロセス等の施策については、

研修やコンサルティング時にお伝えしております。

 

ハラスメント対策の教育について、

現在ご検討中の方は、

Webサイトのお問合せページからメッセージをお送りください。

内容を確認次第、返信させていただきます。

 

 

今回も最後までお読みいただき

ありがとうございました!